政府は、物価高騰対策として、電気料金抑制のため電力会社への支援を検討し始めました。電気料金は来春にはさらに2割程度の値上がりが想定されており、価格抑制を図ることが目的のようです。
去年1年間の電気販売額は約15兆円、補助は2兆円近くに上る可能性があるようです。
すでに、ガソリンでは政府の補助金が支払われており、価格が抑制されています。石油元売り会社への補助金の支払いは3兆円を超えており、10月からの段階的な終了も検討されていましたが、内閣支持率の低下もあり延長が決まっています。
資源価格高騰、そして円安による物価上昇は続いており、日銀が10月13日発表した9月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は116.3と、前年同月比9.7%上昇しています。消費者への価格転嫁により、さらにインフレが続くと想定され、冬を前に政府は国民生活に与える影響、そして不満の高まりを抑えたいのだと思われます。
ただ、この政策は諸刃の剣です。なぜかというと、ガソリン代補助金のように一度始められると止められなくなる可能性があるからです。
すでに図のように原油価格は下落傾向で、政府も段階的な終了を目指していましたが、国民の反発を恐れ延長を決定しています。
そもそも、物価高騰は日米の金利差による円安が原因の一つとなっています。米国は当面利上げを続ける見通しで、この構造的な要因がすぐに解決する見通しは立っていません。
そんな中、安易に補助金の支払いを増やすと、やめることができなくなり、政府の財政をさらに圧迫させる可能性があると考えます。
世界的に見ても、補助金終了のタイミングは非常に難しく、2012年にはナイジェリアで、2019年にはエクアドルで燃料補助金打ち切りによるデモが発生し、社会が混乱しています。
もちろん、インフレで本当に生活が困窮している人には何らかの支援をするべきです。
しかし、野放図に補助金を配る政策は、結果的に自分たちの首を締めることになります。
政府は目先のインフレへの補助金という対症療法ではなく、原因そのものへの治療を始めるべきなのではないでしょうか?
Comments