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執筆者の写真桑原由樹

アベノミクスにおける日銀の役割について。今日は安倍元首相の国葬でした。

 前回、法人税増税が財源として成り立たない理由をご説明しました。

 今回は財源なんて心配ない!国債の発行で補えばいいんだという意見について考えていきたいと思います。


 第2回目でも指摘した通り、政府の国債残高は1000兆円を超えており、過去最多となっています。対GDP比で約260%であり先進国の中では最悪の水準です。

財務省ホームページより https://www.mof.go.jp/zaisei/current-situation/situation-comparison.html


 国債は政府の借り入れです。買い手がいなければ金利が上がり(値段が下がり)、目標の額を調達することができません。少子高齢化が進行し納税の主役となる現役世代が減っている中で、政府は毎年巨額の国債を発行しています。

 一体誰が、巨額の国債を買っているのでしょう?

 それが日本銀行です。2012年に始まったアベノミクスによって、日銀は巨額の国債を買い入れることとなりました。

 現在日銀の保有する国債は今年6月末時点で約520兆円であり、実に国債発行額の約50.4%にのぼる額となっています。

筆者作成

※その前に、  アベノミクスとは何か?アベノミクスとは、2012年衆議院選挙で大勝し政権に復帰した安倍晋三首相が始めた政策で、①異次元の金融緩和、②機動的な財政出動、③民間投資を喚起させる成長戦略、を指します。先ほどまでお話していた日銀の大規模な国債買い入れは、翌年日銀総裁に就任した黒田東彦氏が始めたものでした。


"Haruhiko Kuroda at ADB Philippines (crop)" by Asian Development Bank is licensed under CC BY 2.0.

 では、日銀が巨額の国債を買い入れることは何が問題となるでしょう?  それに関し次回ご説明していこうと思います。


 今日は安倍元首相の国葬でした。

 安倍元首相は、自由で開かれたインド太平洋を唱え主導し、またトランプ前大統領によって破綻しかけたG7の共同声明をまとめたりと、今までの1年ごとに変わる日本の首相とは異なる安定した政権運営により、海外での日本の評価を高めたのは間違いないと考えます。


 しかし、国葬に値するかは時期尚早と言わざるを得ません。とくに、賛否両論分かれるアベノミクスは、一歩間違えれば日本を金融・財政危機に陥れかねない危険な政策ではなかったかと考えています。


 もちろん、国葬と単純な比較はできませんが、理化学系のノーベル賞も、研究結果を出してから受賞するまでに10年単位で時間がかかることも多いです。戦後唯一の国葬である吉田茂元首相も、首相退任から国葬まで13年経過していました。


 国葬は、国を挙げて、国民が弔意を示し故人を偲ぶ。賛否両論分かれる今回の国葬は、安倍元首相の評価が未だ定まっていない証左だと思います。

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